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ベッドで朝陽を
「アリか、ナシで今は良いから。教えて欲しい」
しばらくの沈黙の後、、、
「ナシの要素が見当たりません」
柚は思わず、思っていた事が口から出ていた。抜けていると思っていた後輩は、いつの間にか自分の仕事をフォローしてくれる逞しさがあり、容姿は問題なく(むしろ高得点)、何故だかわからないがものすごく想われている。
「本当!?ほんとにっ!??」
カイの手に力が入る。柚はコクコクと頷いた。
「でも、気持ちはとてもありがたいんだけど。人生でこんなに想われたことないし、ましてやカイ君みたいな完璧に近い男の子に好かれるとか。ちょっとまだ信じられないっていうか、、、」
「えっ、じあどうしたら信じてくれるの?僕が本気だって。」
「カイ君の気持ちが本気なんだろうなっていうのはわかるんだけど、私自身が釣り合う自信がないというか。まだ私はカイ君の事、ほんの少ししか知らないし、カイ君と同じくらいの好きには、なれてない気がするんだよね、、、。だから」
「わかった!わかったわかった!もう言わないで。なんか、この流れ振られそう」
「えっ、そんなつもりはないんだけど。もう少しお互い知る時間が必要かなって」
「じゃあ、まとめると。イエスか、ノーであればイエス。ただ、恋人候補のお友達からお願いしますってことね」
「そうかな。なんか、そんなに偉そうな立場じゃないのだけど。それで、お願いできますか、、、」
「まぁ、今日のところはいいでしょう」
ふぅ、と少し息をつくと柚は自分もかなり緊張していたことに気付く。
「それじゃ。これから本気だして口説くから覚悟しておいてね。絶対、彼氏にしてもらうから」
カイは握っていた手を自分の口元に持っていき、手の甲に軽くキスをした。
「全然、遠慮なく攻めるから、嫌だったら言ってね。」って言われても、、、。
上目遣いの表情。ハラっと落ちる前髪。嫌だなんて思うはずがない、、、。触れた手の甲から、カイの熱が伝わるように身体中が脈打つのがわかった。
「あぁ、さすがに眠いねぇ。柚さん、添い寝してよ~」
言うが否やカイは、柚にもたれかかった。
「ねぇ。だめ?」
「、、、、、。」
なにこれ、急に!??遠慮なくとは宣言されたけど、一言、一言、映画のセリフの様にイケメンパワーが凄まじい、、、。
多分これは、ダメが正解なんだろうけど、可愛い顔に流されてしまいそうになる。
もう、無理かも。ドキドキしすぎてなんか、クラクラしてくる、、、。もたれかかったカイに押されるように、柚は、そのままふっと視界が白くなった。
「んっ?んー?」
身動きが取れない窮屈さを感じて朝を迎えた。
目を開けると、白い遮像カーテンから朝日がのぞいていた。どうやら外は晴れらしい。
「おはよう♡起きた?」
自然にカイが笑う。それも、柚に抱きつきながら。柔らかい枕と、羽布団。ここは、たぶん寝室である。
「昨日、ていうか今朝。柚さん急に意識無くなってさー。焦った、焦った。でもただ、寝ているみたいだったから運んできたんだよ。ソファじゃ眠った気しないでしょ」
「これもこれで、意識があったら眠った気はしなかったかも、、、」
「ううん、爆睡してたよ。いびっk」
「ちょっと!!」
柚は思わず枕でカイの口を塞いだ。
「あぁー。幸せ~誰かが隣にいて眠るって何年ぶりかなぁー。」
塞がれた枕の下でカイは幸せそうに呟く。
「何時?帰らないと、、、。」
「彼氏ナシ、一人暮らし、会社は年末休み、僕がいる。じゃあ、起きる必要ないじゃん!」
上半身を起こした柚をカイが後ろから抱きとめた。
「ねぇ、もうちょっとだけ。」
幸せな朝だった。
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