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授業終わり、上坂さんが黒板を消し始めたから自分もやろうと立ち上がると灰崎が先に消し始めた。 お、珍しいことすんじゃん。 灰崎は自分が日直の時は知らんぷりだから、驚きの光景にクラスにいた皆がざわついている。 「あの、ありがとう」 上坂さんが少し怯えながらも頭を下げた。 「お前のためじゃねぇ。正孝に近付くな」 なっ!! 上坂さんは下を向いて教室を出て行ってしまった。 灰崎は平然と俺の近くに戻ってきたが、礼なんて言う気持ちにはならなかった。近付くなってなんだよ。 「灰崎」 「ん?」 「お前も俺に近付くな」 さすがに頭にきてそう言い放つと俺も教室を出た。 上坂さんの姿を探すがなかなか見当たらない。 しばらくウロウロして、ついに教室から離れた階段の踊り場で見つけた。 「上坂さん、大丈夫?」 泣いてはいなかったが少し怒っているように見えた。 「高尾くん、なんで灰崎くんといるの?」 いるっていうか、あっちがくっついてくんだよ。 「…これでも一応友達だからさ。さっきはごめん、あいつがあんなこと」 「良くないと思う」 「良くない?」 「高尾くんはいい人だけど、灰崎くんはみんな嫌ってるしこの前私の友達もぶつかられて怪我したって言ってた。だから高尾くんも一緒にいたら酷い目にあうよ」 「俺は大丈夫だよ」 それだけは分かる。 「嫌な気持ちになんないの?我慢してるなら先生とかに」 我慢か〜、なんかそんなんじゃねぇんだよな。 「うん、上坂さんの言う通り嫌なことばっかだよ」 「じゃあ」 「でも離れたいわけじゃないんだ。説明難しいんだけど」 「なんで?まさか、弱味握られてるとか…?」 実際その理由だったらもっと楽かもな。 「ははっ、とにかくさっきあいつが言った事気にしないでよ。マジでごめんな」 2人で教室に戻り、その後は灰崎の手は一切借りなかった。 そして帰り際に灰崎に声をかけた。 「2人で帰ろう、話がある」
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