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ずっとそばに。
それから俺達は片方ずつイヤフォンを耳に入れたままでwon'sの歌を聴きながら、手を繋ぎ夜道を歩いていた。
「うー、今日も冷えんな。そういや、部屋あのまま変わってないんだろ?」
「うん」
「今度一緒にカーテン見に行こ。ヒーターは俺ん家で使わないの持ってくから」
雪斗は目を輝かせながらコクコク頷いた。
そして俺はアパートに着くと鍵を取り出し鍵穴に差して回した。
「もう毛布に巻かれんのはごめんだぞ」
「…あれは俺に触れると寒いと思ったから」
あー、そういう事だったのか。
「もうそんな心配しなくていいから。雪斗だと思うと嬉しいだけだし」
はぁ〜っとため息が聞こえて見ると顔を手の甲で隠して俯いていた。
「どうした?」
「…俺も嬉しい」
案の定、耳が真っ赤だ。
この短期間で分かりやすくなったもんだな。
「今日は全部歌ってもらうからな」
「…全部?」
「恋人の特権だろ。雪斗が俺の曲を俺のために歌ってるのを聞きたいんだ」
「それでそばにいてくれるなら何度でも」
ふはっと笑って手を引いて中に入った。
「その言葉、忘れんなよ」
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