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安野春木は、昔、恋をした頃のことを思い出していた。小学六年生の頃のことである。
好きになったこの名前は鈴木加奈。
加奈は、学校のバレーボールクラブに所属していた。
スポーツをしている女子と本ばかり読んでいる自分では住んでいる世界が違う——春樹はあの場所で加奈と逢うまでは、彼女とは相容れないだろうと思っていた。
春木は休み時間もずっと一人で本を読んでいる男の子。
加奈は、いつもたくさんの友達に囲まれて笑っている女の子。
もしも対照的な自分たちが今も一緒にいたのなら。
そう思いながら、春木は当時の記憶に想いを馳せる。
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