神様がいるのなら

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「すいません!手術室は何処ですか?」 目に入った総合受付で、受付の女性に尋ねると、その女性は怪訝そうに眉を上げた。 「あの、お身内の方ですか?」 「あ…、えーっと、あの…か…彼氏です!」 咄嗟にそう答えた。 ウソも方便…いや、これから朱理の告白にOKするのだから、ウソにはならないだろう。 「へえ…」 不思議そうな表情を見せた受付の女性は、少し思案した後、耳打ちするように教えてくれた。 「多分さっきのがオペ中のはずです。流石に親族以外は手術室前までは行けないので、そこのロビーで待っててください」 俺はなんとか正気を保ちながらロビーに向かい、ベンチに座って目を閉じ、必死に祈った。 もし神様がいるのなら…。 どうか朱理を助けてください。 俺には朱理が必要だって、漸く気づいたんだ。 今まで朱理は誰のものにもならずに俺を待っててくれてたのに、横入りした神様に盗られるなんて、神様はそんなドロボーみたいことしないですよね。 俺、朱理が助かるためなら、なんだってします。だから…。 俺が手を組んで必死に祈っていると、不意に自分の名前が呼ばれたような気がして、目を開けた。 するとそこには…。
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