一・春をほととぐ

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一・春をほととぐ

大和王国の富士見光蟲の息子、富士見ノ神子(13歳)が皇太子(和宮)となったことで妃を迎えるのであります。 東領家の源氏蟲の三ノ姫君、華蛍が選ばれたのである。 西領家の平氏蟲の三ノ姫君、筆蛍が選ばれたのである。 北領家の藤氏蟲の一ノ姫君、一人娘で雪蛍が選ばれたのであります。 南に位置する王宮殿に各領の姫君たちが集まって来るのでありました。 その日は前日、翌日に春をほととぐ宴で披露されることになっていました。 最初に着いたのは、東領の源氏蟲家の姫君、華蛍の馬車が到着する。 其れとほぼ同時に西領の平氏蟲家の姫君、筆蛍の馬車が到着していた。 宮廷の正門を華蛍と筆蛍が先に後からぞろぞろと侍女や下女が付いてくる。 それぞれの姫君に与えられた後宮内の部屋で泊まってもらう。 そして、一刻の後に北領の藤氏蟲家の姫君、雪蛍の鳶車(とびくるま)が到着していた。 東領と西領とは違って、北領からはかなり遠いのであります。 なので、、、馬車では何日も掛かるので、羽根を拡げた鳶車で空を飛んでくるのでありました。 後宮内の広場に到着した鳶車から雪蛍姫が降りてくる。 他の姫君たちと同様に雪蛍姫も下女を引き連れて与えられた部屋へと向かったのであります。 各姫君たちは、長旅で疲れたようで部屋で夕寝する者、湯浴みする者、食事する者とさまざまでありました。
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