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悪魔のまねごと
世の中に、やっちゃいけないことはあまたあるが、人間として一番やっちゃいけないことがある。それは悪魔の儀式、だ。
「夜中にみんなが集まって、床におかしな円陣があって、そのまわりをみなが囲むようにして…」
「で、血をすすり合うんだね」
「…はい。あたしもう怖くって怖くって…」
きっとそれが悪魔の儀式とは知らないんだな。願いが叶う、恋とか受験とか家庭だとか…そんな悩みを持つ子供たちが陥る罠。だがそれは自然発生したものじゃない。誰かが仕掛けたものだろう。
「きみは知ってる?次の儀式が行われるのはいつかってこと」
「たぶん…今夜…」
「場所は?」
「水戸街道沿いにある…廃業したボーリング場です」
「うってつけだな…悪魔の儀式には」
「悪魔の儀式って…」
俺は超嫌な予感がした。おおよそ悪魔と関わって、ろくなことにならない。たとえこのガキどもがどうなろうと、関わっていいことじゃないと俺は思った。
「あのさ、神人が思ってるほどことは簡単じゃないんじゃないか?」
俺はもうハッキリと言うしかないと思った。
「いや簡単さ」
「だって悪魔って…」
「悪魔の儀式、つまりサバトだ。そこで行うのが黒ミサ…そこには必ず司祭がいる。おそらくおおもとはそいつだろう」
悪魔の儀式と聞いて少女はさらに表情を硬くした。まったく、多感な子供にこんなことは知らしちゃなんないんだけどな。
「じゃあ行くよ、ヨッシー」
「ちょ、ちょっと待てよ!本当にそれが悪魔の儀式なんて思ってんのかよ」
「ぼくにはわかるんだ。あいつらがどういうやつらで、どんなに卑劣かって」
もう言い出したら聞かないんだ神人のやつって。まったくもう…。
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