第125章 神への音楽の奉納

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『ということで覚えておいてね、この顔と名前。高橋美貴子だからね!!』 神様も、この娘が一流の女優になることをサポートしてあげてくださいね。 とか、思いながら、さらにふと思い付く。 『ねえ、美貴子さん。その映画の何かワンシーンを演ってみてくれないかな』 『え!?』 ほんと無茶振り。 嫌だ嫌だと首と両手を振る彼女をみんなの『美貴子さーん!!』コールが追い詰める。 『……わ、分かりました』 と、諦めて彼女は一歩前に出る。 そして、胸に手を当て、目を瞑り深呼吸。 少しして、 いきなり彼女の雰囲気が変わった。 死んでいた眼が生き返る。 その瞬間、ここの空間が無音となった。 「待ってください!それ、私にやらせてください!!……(相手のセリフ)できます!!それに、……(相手のセリフ)それは私の夢です!!絶対にやり遂げます!!」 それをマイクなしで言った。 会場は無音のまま。 みんなたったそれだけのセリフなのに息を飲んだ。私も。 その時間はどれくらいだっただろう。 拍手が沸き起こって、私もハッとする。
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