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『ということで覚えておいてね、この顔と名前。高橋美貴子だからね!!』
神様も、この娘が一流の女優になることをサポートしてあげてくださいね。
とか、思いながら、さらにふと思い付く。
『ねえ、美貴子さん。その映画の何かワンシーンを演ってみてくれないかな』
『え!?』
ほんと無茶振り。
嫌だ嫌だと首と両手を振る彼女をみんなの『美貴子さーん!!』コールが追い詰める。
『……わ、分かりました』
と、諦めて彼女は一歩前に出る。
そして、胸に手を当て、目を瞑り深呼吸。
少しして、
いきなり彼女の雰囲気が変わった。
死んでいた眼が生き返る。
その瞬間、ここの空間が無音となった。
「待ってください!それ、私にやらせてください!!……(相手のセリフ)できます!!それに、……(相手のセリフ)それは私の夢です!!絶対にやり遂げます!!」
それをマイクなしで言った。
会場は無音のまま。
みんなたったそれだけのセリフなのに息を飲んだ。私も。
その時間はどれくらいだっただろう。
拍手が沸き起こって、私もハッとする。
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