第125章 神への音楽の奉納

21/30
前へ
/243ページ
次へ
9曲目もバラードを続けて、その後はまたミディアムな曲と、ファンのみんなの気持ちをコントロールしながら、私たちは全19曲を歌い上げた。 いつもより曲数が少ないのは、この場所で演れる時間の関係。いつものように長く演ることはできない。そこは仕方ない。ここはそういう場所だから。 『さて、みんなごめんね。短かったけど、いよいよラストの曲』 えー……という声が上がるけど、ここの雰囲気から抑え気味。でも、その表情から、みんなの気持ちはわかる。 『そして、これが本当のラスト。ここではアンコールはできないの。本当にごめん』 私は頭を下げる。 わかったーと言ってくれるファンもいた。そんな彼の言葉に他のみんなも頷いてくれる。 これがうちらのファン。 『みんな大好きだよ』 おれもー、私もーと返ってくる声。ありがと。 『じゃあ、心を込めて歌うね』 そこで言葉を切って、あらためてみんなの表情を見る。 視線が合うと頷いてくれる人や軽く手を振る人、いろいろ。 『パラレル』 曲名を言うと、拍手が湧き上がる。 祥子さんへ提供した曲だけど、既にY'sのイチ押しの曲になっている。
/243ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加