第125章 神への音楽の奉納

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みんなも、きっと何かを感じたはず。 そんな空間に、 『ありがとう。Y'sでした』 と、そっと言葉を置く。 湧き上がる拍手。 私たちは高舞台の一番前に一列に並ぶ。 みんなの白と朱色の巫女姿がライトに映える。 それぞれメンバーの顔を見合わせて、手を繋ぎ、頭を下げる。 その後は、大きく手を振りながら、高舞台を降りる。 巫女としての役割はここまで。 神様、音楽を演らせていただいてありがとうございました。 抑えていたけど、溢れそうになる感動を感じながら、私たちは控え室で巫女の服を脱いだ。 その後は、何か魂が抜けたみたいになった。 全てを捧げすぎたみたい。 「はい、お疲れさま」 由梨が目の前にペットボトルを差し出す。 「ありがとう」 それを受け取り一口。 冷たい水が最高に美味しい。 少しして、まだ巫女姿の美貴子さんが飛び込んで来て、 「結衣さーーーん!!」 と、私に抱き付いた。 潤んだ瞳、緩く丸い顔の輪郭、その綺麗なラインに沿うような髪型に小さめの口とぷりんとした唇。 私も思わず抱き締めた。 「最高でしたーーー!!」 珍しく抱き締めても逃げずにぎゅっとしてくる。
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