第125章 神への音楽の奉納

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「よしよし。これも全部ミッキーのおかげだよ。ありがとね」 ぎゅっとしたまま耳元で囁く。 「ミッキーはヤです」 そう言いながら頭を上げようとしたけど、私はまだギュッとしたまま。ひらがなよりカタカナの方が強い。 そこでいつもの感覚に戻ったのか、 「あ、いや、その、そろそろ離して……離して!離してくださーい!」 と喚くミッキーだった。 その後は、由梨が抱き締め、顔を見合わせて頷く山元姉妹に抱き締められ、戸惑いながらの美夏さんと由亜さんにも抱き締められていたが、その頃には意識がないみたいだった。ちーん。合掌。 ファンのみんなが帰った後、私は大鳥居の方へ突き出した桟橋の火焼前に立っていた。 海は凪いでいたけど、足元から桟橋を支える柱に当たる波の音がぴちゃ、ぴちゃと聞こえてくる。 潮の香りが、ここがいつもの場所と違うと感じさせる。 私は、ただ、胸の奥から湧き上がるものに高揚していた。 本当に特別になったライブ。 ここで演れるとは思っていなかった。 そして、演れたことに、ただただ感動していた。
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