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まずは付き合ってみてというやつ。
1年前までのは、それなりに本気だったけどね。
でも、今は、ただゆっくりとその時間の流れに身を置きたい……
そんな気がしていた。
きっとたか子のせい。
だから、私は、ただ見ているだけかもしれない。
こんなのをたか子が見たら、絶対に信じないと思う。
あの娘は、まあ、そういうところがある。
だから、側に居てあげなくちゃいけないと思わせられる。
別に、姉でもお母さんでもないのにね。
ただ、私がそれで心地良いのだから、これもバイクを好きな理由と同じなんだろうな。
おっと、いけない。
「こんにちは」
「来ると思ってた」
凛としたその目が私を見て微笑む。
「心地良いことに引き寄せられるだけだよ」
「なるほど……」
伽耶さんは、理解したように珈琲豆を挽きながらうんうんと頷く。
頭の良い人とは、たったこれだけで心地良い。
「いつものでいい?」
「って、それ、私用のブレンドじゃないの?」
彼女が珈琲豆を挽き始めたのを指差す。
「はい♪」
小さめの目が確信的に細くなる。
「では、『いつもの』で」
吹き出し気味に軽く溜め息を吐く。
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