第117章 夏の京都はめっちゃ暑い 恋も熱くてやけどする

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まずは付き合ってみてというやつ。 1年前までのは、それなりに本気だったけどね。 でも、今は、ただゆっくりとその時間の流れに身を置きたい…… そんな気がしていた。 きっとたか子のせい。 だから、私は、ただ見ているだけかもしれない。 こんなのをたか子が見たら、絶対に信じないと思う。 あの娘は、まあ、そういうところがある。 だから、側に居てあげなくちゃいけないと思わせられる。 別に、姉でもお母さんでもないのにね。 ただ、私がそれで心地良いのだから、これもバイクを好きな理由と同じなんだろうな。 おっと、いけない。 「こんにちは」 「来ると思ってた」 凛としたその目が私を見て微笑む。 「心地良いことに引き寄せられるだけだよ」 「なるほど……」 伽耶さんは、理解したように珈琲豆を挽きながらうんうんと頷く。 頭の良い人とは、たったこれだけで心地良い。 「いつものでいい?」 「って、それ、私用のブレンドじゃないの?」 彼女が珈琲豆を挽き始めたのを指差す。 「はい♪」 小さめの目が確信的に細くなる。 「では、『いつもの』で」 吹き出し気味に軽く溜め息を吐く。
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