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「かしこまりました」
彼女も吹き出し気味。
そして、ちょっとした間のあと、二人でケラケラと笑う。
大きめのコーヒーポットもカタカタと笑う。
彼女は、その笑顔を柔らかくしたあと、沸いたお湯の火を止め、少し冷ましてブレンドを3つ淹れた。
「はい、どうぞ」
そのうちの1つを私の前に置くと、カウンター後ろのドアを開けて、
「兄さん、休憩にしたら?珈琲淹れたよ」
隣のバイク屋に声を掛ける。
「おー、わかった」
そのドアの向こうから岳さんの返事が聞こえた。
うん。
この声だ。
少しして、その声の主が躊躇なく私の隣に座ると、伽耶さんはその前にもブレンドを置いた。
そこでブレンドから香る珈琲の香りに気が付く。
意識は別に向いていたらしい。
「うんうん、この香りだ」
岳さんが最高に満足というように口角を上げる。
伽耶さんがそれを見て、彼女もブレンドを飲みながらほんの少し口角を上げる。
何となく、伽耶さんがバイク屋の隣で喫茶店を始めた理由が分かった気がした。
それはあえて聞く必要がない。
ただ分かるから。
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