第119章 さよなら美貴子、こんにちははるかさん

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LAZZAには誰かいるのかな?と、思ったら、裏を覗いた時に、電話で「岩井さん」といっていたから、そのまま岩井さんを使っているのだろう。さすがだ。 まあ、あとLAZZAでバイトしたがるアーティスト達も多いから、人手には困らないと思う。 うちも今は困らない。 えっと、立っているのは、真凜さん、日奈子ちゃん、架純さん。このフロアに3人もいる。 さすがに由梨はカウンター席の端に座っている。サボっている。 私に届かないからカウンターの上をパシパシた叩かれた。 今だけだから、いいけどさ。 さて、その夜。 私は一人で抜けさせてもらって、LAZZAにやって来た。 「おはようございます」 「こんばんは」 岩井さんから、冷静に返された。この業界ではいつでも「おはよう」じゃないのか? 「こんばんは」 岩井さんの微笑みに負けて言い直す。 「結衣様、お疲れさまです」 「様はやめろ。お疲れさま」 はるかさんに定型句になりつつある挨拶をして、例のアーティストの出番までしばし茶飲み話。 しかし、さりげなく対バンライブとはいえ、LAZZAで取りを勤めるアーティストかあ。どんな娘だろ。 ちなみに、うちの事務所では、いろいろ面倒くさいから男性は扱いません。女性専門の事務所です。 「光平様のことがありますしね」 「様はやめろ」 と、ツッコミつつ、そういうわけでもないんだけどね、と思う。 でも、あえて「様」をぶっ込んでくるはるかさん。これは岩井さんへの駄洒落と同じようなものなのかな? それだと、嬉しいけどね。 『様はやめろ』の返しについてはスルーしてるし。
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