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タロット占い
「続いて、現在を暗示したカードです」
次にマリアは真ん中のカードをめくった。
「ハイ」
叔母がうなずくとマリアがめくったカードには美しい女性の立っている姿が描かれてあった。妖艶で成熟し妊娠しているようだ。
「これは【女帝】の逆位置です」
「女帝のリバース?」
「ええェ、正位置ならば、結婚や幸せな家庭生活を暗示するカードですが、これはその逆位置です」
「じゃァ幸せな家庭生活の逆なんですか?」
「そうですね。家庭内のトラブルや望まない妊娠と言った意味があります」
「ぬうゥ、望まない妊娠ですか」
叔母はタロットカードを睨んだ。
「では最後のカードです。これは未来を暗示しています」
左側のカードに手を伸ばした。
「未来を……」
「これは」マリアは最後のカードをめくって眉をひそめた。
「ううゥ……」
また悪いカードなのだろうか。叔母も眉をひそめた。
「【世界】のリバースです」
タロットカードの説明をした。月桂樹の輪の中に裸の女性が描かれている。
「ザ・ワールド?」
「ええェ、文字通り世界のカードです。正位置ならばハッピーエンド。または『結婚』を暗示するカードです」
「『結婚』を……。でも逆位置だと、その逆なんですか?」
「そうです。離別や婚約破棄を暗示します」
「ううゥ、婚約破棄ですか……」
「ハイ、未完成のまま終わりを告げ不安定な状況を現わしてます」
「いずれにしても、婚約は白紙に戻した方が良いと言うのですね」
叔母も渋い顔つきでカードを見つめていた。
「ええェ、私の占いでは、そう出ています」
マリアもつらそうに応えた。
「ン、やはり現在を暗示する女帝のカードの逆位置が」
姫香は真ん中のカードを睨んだ。
「望まない妊娠ですか?」
「まさか。健太が、そんな事をするとは」
姫香は悔しげに顔を歪めた。
「いえ、これは健太さんには何も責任はありません」
「でも健太が、誰かを妊娠させたから婚約を破棄したんじゃ」
「いいえ、健太さんが姫香さんとの婚約を破棄したのは、まったく別の理由でしょう」
「まったく別の理由?」
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