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タロット占い
「まったく別の理由?」
「ええェ、そうです」
「それじゃァどんな理由があると言うんですか。望まない妊娠の別の理由って?」
よほど姫香は不満なようだ。
「まず、お聞きした情報によると、姫香さんと健太さんは同じ血液型だと言う事ですね」
「ハイ、同じAB型ですけど」
「それと、さっきの写真を見て気づいたのですが、あなたと健太さんは顔立ちが似ているわ。どちらも美人でイケメンだしね」
「フフ、どうも」
叔母は苦笑いを浮かべた。
「それに同じ箇所にホクロがありますね」
「ええェ、そうです。さっきも言いましたが合コンの時、ホクロのことで二人とも盛り上がったわ」
さっきのツーショット写真を出した。
「ええェ、そしてもう一人、ここに同じ箇所にホクロのある人がいますね」
「もう一人、ここに?」
「そうです。太陽君の首元にも同じようにホクロがありますよね」
マリアはボクの首元を指差した。
「はァ、ボクの?」慌てて首元を手で抑えた。そういえばボクにも同じ箇所にホクロがあった。
「おそらく占部家の遺伝なんでしょう」
「遺伝、それじゃァ?」
「そうです。そしてそこから導かれる結論は、こうです」
「結論?」
「志賀健太さんは、あなたの弟さんなんです」
「ま、まさか弟?」
「そう、姫香さんのお父様と志賀健太さんのお母様との間に出来た子供が健太さんなんです」
「ううゥ、それじゃァ健太は……、私の腹違いの弟だと言うんですか?」
「そうです。はじめは健太さんも気づかなかったんでしょう。むしろお互い惹かれ合った。健太さんもあなたのことを腹違いのお姉さんとは知らず熱烈に愛したんです」
「そんな」
「しかし健太さんは真実を知ってしまった。おそらく彼のお母様が忠告したのでしょう。姫香さんと健太さんの父親が同じだと言うことを」
「ううゥ」
「そこで手遅れになる前に婚約を解消したんです。それが【女帝】のカードの逆位置が暗示する意味なんです」
「望まない妊娠ですか」
「そうです。けれどもこれは単に私の推理に過ぎません。もしかしたら私の推理が間違っているかもしれませんから。あとの真相はお父様にお訊きください」
マリアはゆっくりと立ち上がってタロットカードを片付け始めた。
「……」
叔母は無言でうなだれたままだ。
「断っておいたはずです。お望みの未来が叶うとは限らないと」
マリアは悲痛な面持ちでつぶやいた。
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