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大男
「黒歴史」って言葉があるけれど。
俺ほどの黒歴史を持っている人物って、歴史上でもそういないんじゃないかと思う。
どうも、坂田金時、幼名「金太郎」です。
子供時代の俺の偶像は今でも、主に神奈川県西部~静岡県東部で、赤い前掛け一枚というびっくりな服装でマサカリをかつぎ闊歩させられている。
いや、薪を背負って本を読んでる二宮金次郎ですら、歩き読書は危ないからって、座って本読まされている時代だよ。前掛け一枚って、完全アウトでしょ。いい加減、パンツはかせてくれよ。
……まあ、そうはいっても、実は俺はわりかし、この生い立ちを気に入っている。
というのも、明らかに俺よりも強いしビジュアルも良い、俺のボスの源頼光や渡辺綱よりも、俺は抜群の知名度を誇るからだ。
いや、やっぱり、1000年の時を超えて自分の名前が知られてるって、なかなかに幸せなことだよな。
かくいう俺は、実は20歳過ぎまで、自分がその有名な「金太郎」の生まれ変わりであることを、全く知らずに生きていた。
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