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茨と酒呑童子の間に、本当のところ何があったのかは、俺たちには分かりようもないが、とにかく、頼光四天王は死罪級の失敗を犯し、将来有望だった一人の妖狩りの術使いは、恐ろしい力を持った鬼となり、彼が人として生きた証拠は、永遠に抹消された。
そして、俺の人生の時間で言えば、15年。
俺は、親父と兄貴の監視を受けながら、唯一許された方法――前進のみのタイムトラベル――で、細切れに人生を切り貼りし、ほぼ1000年の時空を、手掛かりを求めて飛び回った。
酒呑童子の首を感知したとき、俺は心に決めた。
ここからは、俺の残された時間はこの時代に賭ける。
どんな手を使ってでも、この首の力を利用して、茨木童子を見つけ出し、そして、討ち果たす。茨を、この日本のどこかにある彼の牢獄から、開放して見せる。
――で、結果が、これだもんな。
俺は、首元に太刀を当てたまま、成仏しようとする巫女と見つめ合う茨の姿を、心の底から苦々しい思いで眺める。
せっかく成ったのに。自由になれるのに。お前が選ぶ道は、それなのか。
俺が自分の人生の大半をかけて何とか取り戻そうとした、お前の1000年の人生の終わりは、それなのか。
人にとって、愛する者を失うというのは、それほどの打撃をもたらすものなのか。
俺はなけなしの式神を、茨にくれてやることに決めた。
どうせ、全部の首に鎖のついた身だ。はっきり言って、今後まともに術は使えない。
これからの俺の人生は、全てにおいて半端もの。
だが俺は、少なくとも、俺の身代わりになった一人の男の人生を多少はましにしてやれたことに、大いに満足していた。
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