彼女より私

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全て大好きだった。愛していた。 私は持っていないものを彼女は全て持っていた。尊敬していたし、憧れていたし、いつか追い抜きたい存在だった。 彼女の名前をSNSで調べると、たくさんの賞賛の声が上がっている。みんなが憧れる彼女は、私のものになった。 とある一つの投稿が目に留まった。 『○○さんの作品、すごい好きだったんだけど、一時期から色々諸々ガラッと変わってついていけない』 イラっとした。投稿を通報して、アカウントをブロックする。 今の時代、小説家になる方法はいくらでもある。文学賞に応募する、小説投稿サイトで見つけてもらう、同人誌を出す、その他色々。 小説投稿サイト××。そこで無双しているのが、私の憧れの人。 ランキングは常に一位。作品が完結したと思えば、次の作品が出てくる。フォロワー数もサイトで一番多い。感動した、大好きです、彼女を持ち上げる声はいくらでもある。 たくさんの人を感動させられる彼女に憧れていた。文章もとても丁寧で繊細で美しい。私が書くジャンルと同じなのに、何もかもが違う。 私は彼女に憧れている。
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