90人が本棚に入れています
本棚に追加
【第2位(10票)】
☆マリネ×モグリ
------------------------------
「ん~先生は、働きすぎなんス。お医者さんなんスから、ちゃんとお休みして、バランスよく栄養をとらないとダメっスよ?」
毒かシモネタしか吐かないマリネの可憐な唇が、珍しくマトモなことを言っている。
「君の忠告には感謝するが、今日中に片付けてしまいたい仕事が……」
感謝すると言いつつ、真面目が白衣を着たようなモグリは渋い顔をしていた。
「ん~だから心優しいボクが気を利かせて、栄養と愛と癒しの供給に来てあげたんじゃねぇスか。はい、あ~んっス」
と、マリネがポテトチップスを咥えて、モグリの顔に突き出す。
マリネの性格を知らぬ者であれば、間違いなくドキリとさせられてしまう愛らしい誘惑だが、モグリは嫌になるほど知っている。
「とりあえず君がどいてくれたら、仕事が早く終わる!そうしたら私は食事もできるし、さらに睡眠時間もとれるのだが!」
そもそもマリネが菓子を食べている場所が問題であった。
院長室で書類整理をしていたモグリと仕事机の間に強引に入り込み、仰向けに寝転んでいるのである。
その際、机の上に整然と置かれていた書類は無残に散らかってしまった。
「ん~照れることねぇス。それじゃ先生が、そのエッチなお口でコレを食べたら、ボクおとなしく帰るっス」
と、マリネが新たなポテトチップスを咥えて、頭上のモグリを大きな瞳で見上げる。
「照れてなどいないし、私の口はエッチでもない!よし、それを食べたら君は帰るんだな?」
このままでは仕事にならないため、モグリは難易度の高い手術を執刀するかの如く全神経を集中させながら、マリネが咥えているポテトチップスに顔を近づけた。
そのため扉が数回ノックされた音を聞き逃してしまった。
モグリは離席中だと判断した看護師が、頼まれていた書類を専用トレーに置いていこうと考え、院長室の扉を開ける。
「失礼しま……」
入室時に習慣となっている言葉が途切れた。
職場では人格者であり尊敬に値する院長が、背中に羽のついた露出の高い服装の小悪魔と、書類が散乱するほど激しくイチャつきながら菓子を食べているようにしか見えない光景に固まったからである。
優秀な看護師は何も見ていないフリをして、そっと扉を閉めた。
「ち、違う!誤解だ!冤罪だーっ!」
モグリの空しい悲鳴が響き、廊下に貼られた「院内ではお静かに」という注意書きがハラリと剥がれ落ちたのであった。
------------------------------
アザミ班のメンバーの中では、最も年の差のある20歳×39歳です。
バリタチのシモネタ小悪魔のマリネが、真面目で堅物な名医のモグリに斜め上のアタックをするドタバタがお約束ですが、そんな彼らを気に入ってくださりありがとうございます//!
技術担当のマリネは潜入以外では内勤や自宅作業になるので、服装は気分次第でなんでもありなイメージです。
スタンダードな白衣のモグリとのギャップがあるほど、ビジュアル的には面白そうな気がします(笑)
最初のコメントを投稿しよう!