◆お気に入りカップリング投票・結果発表!

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【第3位(8票)】  ☆カギヤ×春野優羽(はるのゆうは) ------------------------------ 「カギヤさんが開けられない鍵……ですか?」 「うん!班長はクリスマスプレゼントだって言ってたけど、きっと僕への挑戦状だよ!以前、班のイベントがあった時、海外の軍事施設で使われている鍵を景品にして、開錠チャレンジをさせてもらったことがあってね」  普段は穏やかで人格者のカギヤだが、鍵が絡むと話は別だ。 「班長のことだから、用意されているのは開錠可能な本物の鍵だと思う。今回は優羽君もいることだし、絶対に開けてみせるからね!」 「はい!応援してますね!」  そう頷いた優羽まで、ヘビーな鍵オタクの闘志にあてられて「一体どんな鍵が用意されているんだろう」と、ドキドキしてきてしまった。  ふたりは、きらびやかなショービジネスの街として知られる戯六本(ぎろっぽん)の中でも、最も賑わう中心地「戯六本ステージ」の屋外広場を訪れていた。 「教えられた場所は、ここなんだけど……いやぁ、ツリーも人も、すごい数だなぁ!」  高層ビル群を背景に、ライトアップされた50本以上のクリスマスツリーが屋外広場を埋め尽くす光景は圧巻であり、特に夜になると見物客に加えて通行人も引き寄せられるため、かなり混雑している。  これは主催者側が用意した人工樹のスポンサーになると、オリジナル・ツリーとして自由にデザインが出来る上、一定期間この屋外広場に展示されるという、注目度の高いチャリティーイベントであった。  そのため仲間や家族との記念、恋人へのプロポーズなど参加希望者が後を絶たず、単発の企画のつもりが年々規模を拡大しつつ、現在(いま)では戯六本における冬の風物詩となっている。  メディアでも盛んに取り上げられるため、ロマンティックというよりは、お祭りムードという言葉のほうが適切だろう。  それぞれの想いがこめられたツリーが輝く森の中、ふたりで「カギヤが開けられない鍵」を探し歩く。 「なかなか鍵らしきものが、見つからないなぁ……優羽くん、疲れてない?大丈夫?」 「はい、カギヤさんと宝探しをしているみたいで、すごく楽しいです!動いているから、寒さも気にならな……あ、れ?あのツリー見てください!」  と、興奮気味に優羽が指さした方向へ、カギヤも視線を向ける。  ツリーのてっぺん近くに輝く、立派なクリスマスベルのように見えたものは、非常に大きな南京錠であった。  カギヤの技術なら簡単に開錠できるはずだが、それが大きなコーヒーカップの取っ手に施錠された状態で飾られていたのだ。  カギヤと優羽はツリーに近づき、言葉を交わすこともなく眺め続けた。    やがて、どちらからともなく指先が触れ、しっかりと手を握り合う。 「カギヤが開けられない鍵」というのはアザミからの挑戦状ではなく、祝福だったのだ。  最愛の人に巡り会えた奇跡を手放さないように、と。 「……やっぱり班長には、かなわないや。あの鍵は僕には開けられない……いや、一生開錠したくないかな」  そう呟いたカギヤが困ったような笑顔で優羽を見ると、薄っすらと涙に濡れた瞳が幸せそうに微笑み返したのだった。 00b478b1-797b-47a8-84bf-2b6441a4b5c8 ------------------------------  本編ではツーショットが少なかったり、近くに地味な人がいたり(笑)で申し訳ないのですが、作者も大好きなカップリングなので、その気持ちを今回のSSに込めてみました。  純喫茶のカフェ店員として優羽が初登場した「【2】()り人形師編」から長きに渡って支持していただき、ありがとうございます//!  こちらも1位、2位と同様に年の差カップリング(35歳×22歳)ではありますが、アザミ班のメンバーでは唯一の年上×年下となります。
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