6 婚姻という呪い

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 6ー4 離縁してみせる!  なんで?  僕は、頭を抱えていた。  僕は、ちゃんと自立しようと思っているのに!  「無理ですよ、ラムダ様」  僕の考えていることなんてお見通しという感じの笑顔を浮かべたキーンが告げる。  「ここは、おとなしく囲われておきましょうね、ラムダ様」  囲われてって。  僕は、顔をしかめた。  こんな未来、僕はちっとも想像していなかった。  まあ、漠然とだけどあの王女と結婚して一生彼女の尻に敷かれるんだろうなとは思っていたけど、こんな、夫が何人もできるなんてこと思ってもみなかったよ!  僕がふてくされているのを見てキーンが頭を振った。  「仕方がないですよ、ラムダ様。それともヤマト様の性奴になることを選ばれるおつもりですか?」  「それも、嫌だ!」  僕は、ヤマトの精悍な顔を思い浮かべていた。  ヤマトは。  僕の学生時代の唯一の友人だった。  なのに。  どうしてこんなことに?  やっぱりすべては、邪神ヴァルナムのせいだ!  この忌々しいヴァルナムの呪いのせいで僕は、ちょっと魔法を使っただけですぐにエロエロモードになちゃうし。  そのせいで僕の周囲の男たちを惑わしてしまうんだ。  この呪いをどうにかして解くことはできないのか?  エリアンにきくと一蹴されたし。  「これは、ヴァルナム様の神子としての加護を受けた結果ですからね。呪いなどではなく祝福なんですよ、ラムダ様」  何が祝福、だ!  こんな祝福なんて欲しくねぇし!  僕は、乱暴に手にしていたカップをテーブルに叩きつけるとすっくと立ち上がった。  「どうされましたか?ラムダ様」  「畑に行く!」  畑というのはメイソン辺境伯の屋敷の裏庭にある菜園の一角を借りて僕が薬草を育てているところのことだ。  僕が土魔法で土壌を改良してそこにヴァルナムの聖地から持ってきたリザロ草を移植したのだ。  みてろよ!  僕は、決意を確かめていた。  僕は、必ず薬屋として自立をしてみせる!  そして、三人の夫たちと離縁してみせる!  僕がそういうとキーンは、僕のことを憐れむような眼差しで見ていた。  なんだよ!  僕は、キーンを睨み付けるとさっさと部屋を出て畑へと向かった。  
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