6 婚姻という呪い

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 6ー6 自ら求めて  今だって。  特に魔法を使っているわけでもないのに僕の体は奥が乾いて。  肉体の奥で何かがうごめいているのを感じる。  はやく、この飢えを満たして欲しい。  ロイは、今日は屋敷の執務室で仕事をしていた。  ロイは、優秀な領主だ。  この辺境の地を豊かにし、立派に治めている。  真面目だし、どちらかというとストイックなぐらい自分を律している。  でも、きっと優しいロイは、僕が頼めば僕のことを慰めてくれるだろう。  だけど。  僕は、自分から誘うなんてことできそうもなかった。  そんなはしたないこと、僕には、できない。  それに領主様が昼間っから盛っているわけにはいかないだろうし。  僕は、屋敷から隠れるように木立の中に入っていくと大きな木の幹にもたれた。  涙目で僕は、屋敷のロイの執務室の方を見つめていた。  ロイ。  ああ。  燻り続けている炎に身を焼かれながら僕は、熱い息をはいた。  誰も、いないのを確認してから僕は、自分のものへと手を伸ばした。  すでに下履きの中でそれは、滴りを漏らしていた。  僕は、前をくつろげると自分で擦り始めた。  呼吸が乱れていく。  僕は、泣きながら求めていた。  ロイ。  ディダル。  「あっ、はぁっ」  僕は、目を閉じた。  ヤマト!  僕は、空に向かって白濁を迸らせた。  「うっ、ひっくっ・・」  僕は、泣いた。  泣きながら、求め続けた。  それでも、体の疼きはとどまるところを知らなくて。  僕は、ひくついている後孔へとおずおずと触れてみた。  そこは、固く閉じていたけれど、僕が口に含んで濡らした指を差し込むとちゅりゅんと受け入れた。  僕は、指先で敏感な場所を探すとそこを刺激しながら前を弄った。  「あぁっ、はっ」  くちゅくちゅという淫猥な音が辺りに響いた。  「あぁっ、んぅ」  なかなかいけなくって僕は、焦れて身じろぎした。  もっと。  もっと奥へ。  僕は、指の数を増やしながら求めた。  「は、うっ」  僕は、身悶えしながら己を解き放っていた。  どうすれば。  この呪いを解けるのか。  僕は、乱れた吐息を整えながら考えていた。  どうすれば、この甘美な罠から逃れられる?
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