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「愛にも困ったもんだ…」
担当医は愛の希望で交代したが、執刀は前担当の槇村先生がした。
前置胎盤とフランスでも診断されていたが、自然に治る可能性もあり、経過観察で様子を見ていた。
しかし、帰国後はそのまま東亜に入院。
愛の前置胎盤は部分的前置胎盤で、癒着胎盤でもあったらしい。
分娩によって引き起こされる大量出血も想定され、予め貯血はしていたようだ。
「私が居ない間に勝手にシャワーを浴びたらしくてそのまま意識を失って…」
「・・・で、赤ちゃんは?」
「赤ちゃんは女の子で今…NICUよ」
「・・・愛の癒着胎盤は稀なケースだったらしく大変だったようだ…今は経過観察でICUに居る」
「・・・」
「後少し…発見が遅れたら、母子共に死んでいた」
「・・・そうなんだ…」
「大変でしたね…」
同席していた拓真さんが呟いた。
「まぁな…拓真君、永遠たちを連れて来てくれてありがとうな」
「いえ・・・」
「永遠と愛の出産の時も大変だったが…愛の出産も生きた心地がしなかったぞ」
「奈都也さんには伝えた?」
「伝えた。明日の便でこっちに来るそうだ…」
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