第四章 海竜の棲む島 四

9/9
77人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
 そのまま下に降りてゆくと、小さな砂場があり、そこから海に入る事が出来た。 「竜断島、近く見えますね……」 「でも、泳ぐとかなりある。向こうには小さな浜辺があって、そこが穴場だった」  その浜辺は、竜断島でも人が行かない場所になっていて、取り放題になっていたという。 「巻島と生駒は、漁師の息子で、水泳部よりも泳ぐのが速かった。だから、水泳部の助っ人で選手をしていたくらいだ。水泳大会で優勝した事もあった」  そして、内藤と志賀も、泳ぐ事が得意で同じく大会に出場していた。 「内藤は平泳ぎ、志賀は背泳ぎで……メダルとかを取っていた。だから、ここで泳ぐ事も、練習のようなものだった」 「あの、もう一人いましたよね?」  ずっと、四人の名前を聞いているが、失踪したのは五人だったように思う。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!