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昔の春川は、大丈夫ではないのに、大丈夫を連呼する子供だった。そして、今は悪人になりきる事で、村雨から遠ざかる、優しい竜だった。
「俺が…………元凶だった……」
村雨がいなければ、四人は死なず、春川もそのまま生活を続けられた。でも、それは、ただの仮定でしかない。
「…………それは、ただの、もしも……の世界ですよ」
「それに、誰にでも、あります…………」
塩家も実感がこもっている。
「春川……………………」
今、春川の元には、村雨との子供がいる。だから、無理な事はしないだろう。
「俺達は親友だった……それは、春川も一緒だったのに……………………」
地元の四人が、小岬の浜へ行くメンバーを選んだ時、村雨は転校してきたばかりで、選ばれていなかった。でも、春川は選ばれていたという。
「春川は、港に馴染んでいたのに、本人は気付いていなかった…………」
四人は、春川も仲間だと思っていた。それは、港の仲間であり、村雨を囲む仲間であった。
「春川と同じ気持ちで、四人もいたのだと……俺は、産卵して初めて知った」
それは、竜の雌になった事で、竜の気持ちを理解したせいだった。そして、青の海岸で、残っていた四人の思念を読んだ。
四人は春川だけでも生きて戻ったと信じていて、恨んではいなかった。
「………………仲間だと教えたかった」
描けなかった未来には、今の隆平のように、沢山の夫を持つという選択肢もあったのだ。
「春川…………」
しかし、春川は又、必ずやって来る。
「今は、休みましょう」
でも、今は休息が必要だろう。

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