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お嬢様は侮蔑するかのように目を細める。
「そう。お前は脱ぎたての下着でオナニーをする変態だとわたくしの友人に思われているわけ。その通りだったわね。だってお前は、誰彼構わず声を掛けてしまう、欲求不満の淫乱だものね? お前はサディー家に仕える従者でありながら、そんな変態的な目で見られているのよ。サディー家は淫乱を側に置いていると思われているの。分かる?」
お嬢様が後ろに回り込むと、鞭が唸りをあげて空を切った。パァン、という乾いた音と共に私は悦楽を感じた。恍惚とする私を見て、お嬢様は冷ややかに嗤った。
「叱られているのにそんなに嬉しいの? お前のような男を見て惚けている女の気がしれないわ。お前の美点なんて顔だけよ。それしか価値がないのにね」
「おっしゃる通りにございます」
「少しは否定しなさいな」
私は俗に言う美形の部類に該当するらしい。通りを歩けば必ず誘われるし、お嬢様の友人がパンツを渡してきたのもそういう意図があったのだろう。
サディー家に仕える前は金持ちの老若男女に体を売ってどうにか食いつないできた。
散々鞭で打ち据えられ昇天しかかった私に、お嬢様は優しく囁いた。
「わたくしに仕えられることを感謝なさい、マイク。わたくしがお前を鍛えてあげているからこそ、お前には価値があるのよ。サディー家に見いだされなければ、お前はずっと役立たず、肉欲を満たすだけの薄汚い男娼のままだったのだから」
――まったくもって仰る通り、感謝の念に堪えない。私は幸せだ。
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