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ああ、まただ。どうせくだらない演習とか、救援物資を配るために他国へ派遣される。そんなモンだろう。
命令が下されたその時だけは、そう思えたんだ。
いいか?感染経路は一切合切不明。
これは噂でしかないが、引っ掻かれたら”感染”、はたまた、”触れられただけで感染する”という情報を、我々は耳にしている。
だがしかし、これらは所詮”噂”の域を出ない。
どんな状況であろうとも、感染者である疑いを持つ者は、その場で即刻射殺せよ。
下らない、それでいて、怠慢な俺の日常が今夜壊れようとしている。
いつもなら、この時間帯、俺はビールをかっくらって適当なチャンネルに合わせて、理解できない内容に馬鹿みたいにうなずいてるはずだった。
感染症?なんだよそれ?噛まれたら”ゾンビ”みたいになる?
はっ…映画かよ…冗談だと思ってたんだ。その時は…
おい…嘘だろ…
俺は戦慄した。
その場にいた同僚も、きっと同じ感情を抱いたことだろう。
ついさっき「死んだはず」の、喉をおもいクソ噛み切られたはずの”死体”が起き上がって、暴れ始めた。
ありえないだろこんな事…映画や漫画でしか拝んだことが無いようなヤヴェえ状況に、俺らは居た。
お、おい…こういう時、俺達はどうすれば…
ガチでマジな理解を受け付けないこの状況に困惑せざるを得ない隊員、そして俺。だが、映画によれば、頭をぶっ飛ばせばコイツらは止まる。
いつだってそうだろう?
俺は引き金を引いた。化け物と化した民衆の頭目掛けて。
そしたら、面白いようにぶっ倒れていくじゃねえか。
俺達に選択肢は無い
俺はもう、人を殺したくないとか、そんな甘っちょろい考えを捨てるべきだと、遅ればせながら気が付いたんだ。
「おい、頼む…俺達は感染してない…」
「いやしかし…小さな子供もいるんですよ…!?」
本部の答えは「その場で射殺せよ」だった。
なんであれ、感染の疑いがあるならば、その場で殺す他無し。
感染経路が不明である今、俺達に打てる策はこれしかない。
「悪く思うなよ…」
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