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Prolog
世界でいちばん愛する人が亡くなった。
目の前で焼かれていく姿を、俺はただ呆然と窓の外から見つめるだけだった。
親族の中には入れない。
法的に正式な家族ではない俺は、なんの特権もなくてただ「友人」としてそこにいた。
涙は出なかった。
棺が見えなくなっても、あの人が焼かれて空へと上っていく煙や匂いも、何を感じても涙なんて出なかった。
愛おしいあの人は、広い空へ流れていく。
いくつもの困難を乗り越えて、心を開かない俺に親身になってそばに居てくれて、何度も不安定に暴れるを俺を抱きしめてくれて、抱く時はこれまでよりも一層甘く優しくて、逞しい腕が心地よくて、低い声も、優しい笑顔も全てが大好きで。
それなのに、呆気なく人は死ぬ。
心の底から、世界でいちばん、愛していた彼を、
なんで神様は俺から奪ったのだろう。
初めて愛せた人だったのに。
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