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つい先程まで、私は会社で揉めていた。
理不尽なパワハラと、どうでもいい正義感。そのぶつかり合いで、そりゃもう、すったもんだの大騒ぎだった。
いま考えればあの時、あのひと言が余計だったのだろう。でも、感情を心に納めておくなんて無理だった。
挙句の果てに、辞める辞めないの話しになっちゃって……
「じゃぁ私、辞めます!」
言ってやった。勢いで……
気持ちが先走っていたんだろう。もう後に引けない、なんて頑になるのは良くないけど。
この職場にはもう、私の居場所なんかすでに無い。「キミはもう要らないよ」って、絶対そう言われているような気がしていた。
いったい何だろう、私の存在価値って……
彼氏いない、親友もいない、親兄弟なんてずっと疎遠。私、生きてる意味無くない? あぁもう嫌。消えてしまいたいくらい、この存在自体……
どうしたらいいの、教えて誰か。私、悔しくて、切なくて、悲しくて……
出口の見えない脳内会議。私はそれを、ひとり延々繰り返していた。
でも……
この店に入ったことは、正解だったかもしれない。しだいに心に絡まったモヤモヤが、ほぐれて行くのを感じていた。
やっぱり、お酒の力なのかな。
よし……
「あの、これ……おかわりください」
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