石動ミオ

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石動ミオ

『ミオ! 早く起きないと置いていくぞ』  まるで(ジョー)ダンは新設されたアミューズメントパークへデートでも誘っているみたいだ。しつこくノックを繰り返した。 「うるさいわねェ……。何なのよ」  こっちは、まだ寝ていたいのに。  しかし放っておくワケにもいかない。目を擦り、ブツブツと愚痴をこぼしながら彼女は起き上がった。 「ッたく、フワァ、何なのよ……」  あくびをしながらドアを開け睨みつけた。どちらかといえば、まだ夢見心地だ。 「よォ、ミオ。おはよォ。ケッケケ、今日もいちだんと可愛らしいねェ。チューしたいくらいだぜェ」  しかし徹夜でハイになった(ジョー)ダンは嬉しそうに()みを浮かべていた。そのまま抱きついてキスをしようしてきた。 「ふぅン、お世辞なんか、結構よ。何なの。朝っぱらからなにを大騒ぎしているのよ?」  とっさにミオは身を翻してディスタンスを取った。 「もぉ」眉をひそめ睨んだ。  こっちは、まだパジャマ姿だ。(ジョー)ダンと目覚めのキスをするつもりはない。 「ケッケケ、『666』だよ。ヤバいンだって。地球滅亡の危機なんだよ」  だが(ジョー)ダンはめげずに話しを続けた。打たれ強いタイプだ。 「ハァ、大げさねえェ。バカなのォ? 小学生か」  今どき地球滅亡の危機なんて、漫画やアニメではないのだ。 「マジなんだよ。ひと晩のうちに、校庭に『666』が現れたんだよ」 「ええェ……、校庭に『666』?」  何のことなのか、まったく要領を得ない。  校庭に『666』が現れるッてどういうことだろう。 「ほら、見てみろッて。これこれェ……、なァ『666』だよ」  (ジョー)ダンはスマホを見せびらかすようにミオの目の前へ持ってきた。 「ンううゥ……」  目を凝らしてスマホを覗き込むと、どこかの学校の校庭に『666』と(かたど)って机が並べられていた。 「なァ、ヤバいだろう」  (ジョー)は、画像を見せながらニコニコして同意を促した。 「ううゥッ、これが!」  思わずミオも息を飲んだ。  嵐の過ぎ去った朝、突然、校庭に机で『666』と残されてあったらしい。 「なァ、これは地球滅亡を(しら)せるメッセージなんだよ」 「えッ? そんなワケないだろうけど……」  どうせどこかの不良生徒か暇な半グレ集団のイタズラだろう。 「ケッケケ、ミオも早く着替えて、一緒に(おが)みに行こうぜェ」 「マ、マジでェ……、今からァ?」  何時だと思ってるのだろうか。  まるで近所で(もよお)される花火大会でも行くような口ぶりだ。
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