往復書簡「満月コバルトブルー」

6月

矢野さんへ。田口です。梅雨になりましたね。お元気ですか。その後、手紙のお返事書けなくてごめんなさい。ちょっと、今、両親がもめてて、色々大変なんです。大人って……親って、何を考えているのかわかりません。愛し合っているはずなのに、すれ違ったり、喧嘩したり……。なんだかバカバカしいです。物事は単純でいいように思うのですが、僕が子供だから、そういう大人の事情みたいなものがわからないだけなのでしょうか？　愛情について矢野さんはどう思いますか？

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この雨の季節が私は一番好きです。心が落ち着きます。静かに雨の音を聴くのはどうでしょう？　トオル君の心も落ち着くのではないでしょうか？　私の方は、新しい学校にもだいぶ慣れました。はじめて友達もできました。トオル君ほど心の内を話せるわけじゃないけど。友達と呼んでもいい関係の人ができたことは率直に嬉しいです。愛情の問題。両親の問題って難しいですよね。私は物心ついた時から、母親だけだったので、そんなに両親の愛情問題について考えたことは、実はありません。母は、私のことをとても心配してくれますし。私から言えることは、人間だからすれ違うこともあるのかもしれないってことで。とにかく、いい方向に行くことを祈っています。追伸。今度どこかで会いませんか？

矢野サナ