プロローグ

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プロローグ

全身赤い物に包まれていた。 僕と目が合うとその赤い物は 滑るようにゆっくりとこちらへ向かって来た。 僕の全身をその赤い物で覆い尽くすと 自身の顔、のようなものを僕の顔へ近づけ 微かに微笑んだ。そんな気がした。 そしてそれは「私はギャロ、ギャロよ」と名乗った。 ギャロの瞳に映るのはとても幼い僕自身だった。 ギャロは僕の耳元で囁いた。 「君と私達で素晴らしいものを共有しよう」 僕は赤い物に身を包んだギャロへ頷いた。 「私達はいつまでも待っているよ。だってそうだろ? 君は私の大切な友達なのだから」 「友達?」 僕はその意味が分からず、ギャロに尋ねようとした。 その時だった。 赤い物に身を包んだギャロの身体へ真っ白な物が降り注ぐ。 ギャロはその真っ白な物に目を伏せた。 腕で顔を隠し真っ白な物が当たらないよう後ずさった。 「ギャロ?」 僕が呼ぶ声より早く真っ白な物は辺り一面に広がった。ギャロは真っ白な物を避けるように、そこから姿を消してしまった。 真っ白な物は僕の周りで巨大な渦を作り、その中へ僕を引きずり込んだ。 渦に飲み込まれた僕は、真っ白な物がより眩くなる中へと飲み込まれていった。 気づくとそこにはギャロに似た人物が沢山立っていた。 けれどその人物は赤い物に身を包まれていなかった。 白い物を纏っていた。 僕はその人達が僕に向かって伸ばす複数の蠢めく何かが怖かった。 僕はギャロ!と叫んだ。 わさわさと身体を這いずり回る何かに怯え僕は更に大きな声で叫んだ。 だがその声はギャロには届いていないようだった。 そしてその人物達は僕を抱え上げた。 まるで供物のように扱われながら僕は新たな人物の下へと運ばれた。 そこで、僕が見たものは僕自身だった。白い物を纏った僕だった。僕はそいつが嫌いだと思った。僕を真似た白い僕が憎かった。 もう一度、「ギャロ!」と叫んだ。 その瞬間、僕の両手は偽者の僕の首を絞めていた。 気づくと僕は赤い物に包まれていた。 ギャロが助けてくれたんだと僕は思った。 この赤は友達という物の印だと僕は思った。 赤い物こそがギャロと僕が友達だという証だった。
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