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「……風呂入ってくる」
ハルさん、行っちゃった……。
声のトーンがとても低かったな。怒ったのかな……はっ! もしかして、もしかして、愛想尽かされちゃった? あんなわけのわからない、い、淫乱なこと言ったから……! あんなこと言わなければ良かった、接触がなくなったこと以外、ハルさんはずっと変わらず優しくてかっこよくて……それなのに贅沢なっ
「フゥーお待たせ~」
そうやって髪を拭きながらラフな部屋着で登場したってカッコいいんだから! ズルいんですよ……っ?!
「こうして欲しかったん?」
優しく抱きしめられた上に、耳元で甘々イケボ囁きいただきました。
「はい……」
はい、こうして欲しかったんです、ずっと……
僕もハルさんの腰に手を回してみました。僕だってこれぐらいはできるようになったんですよ。僕より一回り太くて固いハルさんの腰回り、みんな知らないでしょ。着痩せするタイプなんですよ。
「屈んで」
「え?」
理由もわからないまま、言われたとおり身をかがめると、ハルさんが僕の唇に、キッ、キスを、それも、チュッていうのじゃなくって、ねちっこいっていうか、いやらしい感じのやつ……
頭がぼうっとしてきたのは、息苦しさのせいだけじゃないと思います。とにかくもう、立っているのが辛くなってきて、気づけばハルさんにしがみつくように抱きしめてしまっていました。
「あっち行こっか」
察しの良いハルさんは優しく笑ってそう言ってくれました。僕の腰に手を添えて、一緒に歩いてくれます。そして向かう『あっち』はもちろん寝室で。
寝室はすでにエアコンが効いていて、ほんのちょっぴり肌寒さを感じるぐらい。でもこの後のことを考えると、このぐらいでちょうどいいのかな、なんて考えて、何をいやらしいこと考えてるんだろうって恥ずかしくなりました。この後にすごく期待していることに気づいてしまって、自分自身がとってもスケベに思えて、落ち込んできたけど、それよりも、やっと触れてもらえるという喜びの方が大きいのでした。
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