夏の憂いごと

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「そんなの気にしませんよ」 「俺が気にすんの。これは本人にしかわからんねやて」 「それよりも、避けられる方が悲しいです」 「……」 「僕、ハルさんの匂い、好きですよ」 「うわっ、やっぱり臭うてた?」  焦りながら両わきをくんかくんかしているけど、ハルさんの体臭っていうのかな。ほんのり汗も混じっているんだろうけど、あったかみがあって男らしい、雄み溢れる匂い。僕は好きだなって思ってるんだけど……本人には言わない方が良いのかな。 「顎から伝って落ちてくる汗だって、」 「え! えーちゃんの体に垂れてたん?! きったな! めっちゃごめん」 「僕のこと一生懸命気持ち良くしてくれてるの、頑張ってくれてるの、わかって……すごく嬉しい、から」  あああああ言っててだんだん恥ずかしくなってきた、何を言ってるんだろう!  顔が熱くて熱くて、思考回路もショートして、頭から湯気が出そう!  ……そんな僕を見つめるハルさんは、とっても優しい目をしていました。 「ありがとうな」  心から愛しいものを見つめる眼差し、いただきました。うぅ、こんな顔も誰にも見せてほしくないなあ…… 「俺今度から頭と首にタオル巻いてコトに及ぶわ」 「ムードぶち壊しなんでやめてください」 せっかくの甘い雰囲気が台無しになってしまいましたが、そういうところも、好きなので。 【おわり】
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