星新一 冬の蝶 感想

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星新一 冬の蝶 感想

文明が高度に進んだ社会 機械によって全てが管理されている世界で自ら考えることをせず暮らすひとたち その中で停電、なすすべもなく死へと向かう夫婦 猿(下等だが野生を残したもの)が生き残る 冬には活動しない鮮やか蝶を洋服として見に纏う妻 冬には咲かないお花の手入れをする夫 高度に発達した文明社会で考えもせず、与えられたものに慣れすぎた夫婦  電気がとまり寒さと飢えで死にに行く夫婦 自ら考えることができれば,機械が自動で食事を準備したとしても 家の何処かに食料も衣類もあることに気がついて,探し食事をして暖かく過ごせる だが夫婦は考えることをせず食料も衣類も探しもしない、夫婦で寝て起きたら何とかなってるだろうと眠りにつき死んでいく 猿は食事を見つけ、家にある木製のものに火をつけ弾を取ろうとし生き残る 下等動物として表現されている猿が 自ら考え,活路を見いだし生き残る 自ら考えず与えられた環境,情報を鵜呑みにする現代社会への風刺と警鐘を感じる ただそんな中でも夫婦は唇を重ね抱きしめて 温めて死での旅路に出る表現に どんな時も寄り添い会える希望も残しているなと思う 夫婦が争い,どちらかのせいでこうなったなどと責任転嫁をして醜い諍いのなか命を落とす表現もできたのに 死が安らぎと癒しで描かれ 死こそ穏やかな旅路という作者の願望すら感じる 私も願わくば穏やかな旅路に出る時 愛する人と共にありたい
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