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俺は、その後も透也さんのマンションで暮らしている。
透也さんは、弟の由貴の借金を調べ上げて、一緒に弁護士に相談に行ってくれた。どうやら色々上乗せされてたみたいで減額され、大学在学中に返済できる見通しが立った。透也さんは自分が立て替えると言ってくれたけれど、俺はそれを断っている。
「お金をあげるわけじゃないんだから。琉貴が僕に少しずつ返してくれればいいんだけど」
「親しき中にも礼儀ありっていうでしょ。いいんだよ、これは俺と由貴のことだから」
「親しい、か。うん、そうか」
透也さんは、相変わらず変なところに感動している。
「そういえば、何で透也さんはあの時、俺に犬になってって言ったの? 駅で座り込んでた時だよ」
「オレオが昔、うちに来た時と似てたんだ。しょんぼりしてて、でも、じっとこっちを見てて。どこか必死な感じがすごくよく似てるって思って」
壁に貼ってあるオレオの写真を指差して、にっこり笑う。
「ほら、このつぶらな瞳がそっくり」
……それこそ、何かの補正フィルターがかかっているんだろう。
にこにこして隣に来た恋人に、ワン! と小さく吠えれば、とびきり甘いキスが返ってきた。
おしまい♡
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その後の二人を書きましたので、続きます。明日からは番外編です🐶
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