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水炊きの材料に加えてワインやビールも買ったら、すっかり重くなってしまった。俺と透也さんはどちらからともなく呟いた。
――帰ろうか。
「透也さんの淹れてくれたコーヒーが飲みたい」
「うん。シュークリーム買って帰ろう」
専門店街には、人気のシュークリーム屋がある。カリカリに焼けたシュー皮にバニラビーンズの入ったカスタードクリームがたっぷり。小さな白い箱からはふわりと甘い匂いが漂ってくる。
ショッピングモールを出て歩き始めてから、透也さんが立ち止まった。
「琉貴と手を繋ぎたい」
「透也さん。俺たち、両手いっぱいなんだけど」
「……」
土鍋とワインやビールは透也さん、俺は肉や野菜とシュークリームの箱で手がふさがっている。
周りに人はいない。残念そうな透也さんの顔を見上げて、俺はそっとキスをした。真ん丸な目になった透也さんが、小さな声で言った。
「今日は……すごく、いい日だ」
マンションの扉を開けて自分の荷物を置いた途端、透也さんは俺を抱きしめた。
「ちょ……ちょっと! 透也さん! シュークリームがつぶれる!」
「琉貴が悪い」
「えええ……」
「琉貴が可愛いことばっかりするのが悪い」
透也さんが眉を寄せながら、俺にキスをする。噛みつくように激しいキスだ。舌を吸われ、口の中をねっとりと舐め回される。段々、体に力が入らなくなって、両手からは荷物が落ちた。
「ごめん。でも、我慢できない」
なんとか靴を脱いだ俺と透也さんは、リビングのソファーに倒れ込んだ。透也さんは俺の上に覆いかぶさったまま、もう一度唇を貪った。息が上手く出来ない。少し冷えた指が服の裾から入り込んで、肌を撫でていく。ぞくぞくとした痺れが背を走り、体が跳ねる。
「冷たかった?」
「うん。でも、冷たい指で……触られると、気持ち……いい」
透也さんが、はあ、とため息をつく。
服を大きくめくられて、透也さんが両手で俺の乳首を摘まんだ。
「……っ! あッ!」
冷たい指の腹が敏感な部分に触れて捏ね上げる。俺は堪らず声を上げた。
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