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「外見ばかり、って」
「ああ、容姿がいいのを自慢にしてたのが多かったからな」
……多かった、ってことは何人もいたってことか。
あれだけ顔がよくて優しい人ならそれもそうだろう。透也さんが今まで付き合ってた人のことは特に聞いたこともなかったし、聞く必要もないと思っていた。必要なら話してくれるだろうし、そうじゃないことは聞かない。聞いたら絶対気になるから。でも、勝手に耳に入ってきた場合は……。
「達也さん、ちょっと詳しく聞きたいんですけど」
「ん?」
「毒を食らわば皿まで、って言うでしょう?」
俺は、ワインの瓶を持って達也さんのグラスに注ぎ、自分のグラスにも注いだ。テーブルに瓶をドンッと置く。知ってしまった以上、中途半端なのはよくない。知らずに耳に入れたとはいえ、達也さんにも責任をとってもらおう。
達也さんは、びっくりしたように瞳を瞬いた。それでも、俺の質問に丁寧に答えてくれる。予想通り、透也さんは子どもの頃から可愛い子で、学生時代はモテまくっていたらしい。
「でも、知ってる限りじゃ、誰とも長続きはしなかったようだが」
「ふぅーん」
「琉貴くん? 大丈夫……じゃ、ないな」
「そぉんなに、よっぱらってないですぅ」
「……君、酒に弱かったんだな」
イケメンが困った顔をしているので、何だか悪いことをしたような気持ちになる。椅子でふらついてしまい、ソファーに連れていかれた。達也さんがコップに入れた水を渡してくれる。
「……ありがと……ございます」
ごくごくとコップの水を飲み干す。達也さんはじっと俺を見た後に、口元を緩めた。弟が君と一緒にいるのがわかるような気がするよ、と。
透也さんが俺と一緒にいる理由? 何だろう?
顔がいいわけでも頭がいいわけでもない。ようやく返せる見込みがついたけど、まだ借金だってある。
ああ、あれか? 弱った生き物云々ってやつ? そういえば透也さんも前にそんなことを言ってた気がする。
俺を見た時、オレオが家に来た時を思い出したって。しょんぼりしてて、必死な感じが似てるって。
「琉貴くん? どうし……」
気がついたら、目の奥が熱くなって、涙が出てきた。
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