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「あの2人、仲良いの?」
2人が出て行った後に武蔵に聞いたら、武蔵が食器洗いを続けたまま頷いた。
「小町のお父さん、お兄さんと定期的にうちに遊びに来てたよ。
その時によく拳と2人で話してた。」
「お父さんは矢田さんと友達だから分かるけど、オジさんも行ってたの?」
「うん、小町のオジさんとは俺がよく話してた。」
「そうだったんだ、知らなかった。」
お父さんが「矢田の家に行く」と言っていたのは何度も聞いたことがあった。
そこにまさかオジさんも一緒だったとは思わなくて・・・。
お父さんよりもオジさんの方が優秀だったと聞いたことがある。
だからオジさんの方がお母さんの婚約者だったと、オジさんが昔笑いながら言っていた。
でも、オジさんはある条件をクリア出来なかったらしい・・・。
どんな条件だったかはオジさんも知らなくて、亡くなったお母さん方のおじいちゃんおばあちゃんも、私にも絶対に教えてくれなかった。
お父さんは、何かの条件をクリアした・・・。
そして、武蔵も・・・。
武蔵も何かの条件をクリアしている・・・。
食器洗いを終えた武蔵の後ろ姿を見る。
「小町、今日お風呂まだだよね?
先入ってね。」
「うん、ありがとう。」
何かの条件をクリアしてくれた武蔵が私の婚約者に選ばれた・・・。
武蔵にとっては迷惑な話かもしれないけど・・・。
でも、私にとっては凄く幸運なことで・・・。
だって、好きな人と結婚出来る・・・。
私は、好きな人と結婚出来る・・・。
30歳の立冬の日までまだ時間がある・・・。
まだ、ある・・・。
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