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扉の隙間から2人を見て謝ると、2人が無言で私の方を見ている。
そして、拳君が武蔵よりも先に困ったように笑った。
「小町さん、俺男子高校生だからそういうの刺激強すぎるから!!
さっき見た裸を何とか処理しようとしてる最中でのソレは厳しい!!」
「え・・・そうかな、ごめん。」
鍵を掛け忘れたのは私なので、それはすぐに謝りたかったのだけど・・・。
そう思いながらも扉をまた閉める。
扉が閉まり切る前に武蔵の方を少しだけ見てみたら・・・
見てみたら・・・
武蔵は・・・
武蔵は・・・
何でもない顔をしていた・・・。
拳君は困ったような笑顔なのに・・・
武蔵は、何でもないような顔をしていた・・・。
「・・・お兄ちゃん、そういうのは興味ないってことなの?」
扉のすぐそこで拳君が武蔵にそう聞いている。
拳君から見ても武蔵は何も動じていなかったらしい・・・。
「小町だしね。それに、タオル巻いてたしね。」
「タオル巻いてたけど・・・え、なに?
マジで!?いや、それは聞いてない!!
それはビックリなんですけど!!!」
拳君は何を読み取ったのか・・・。
武蔵が・・・そういう経験があると読み取ったのか・・・。
そんな武蔵からしてみたら、私がバスタオルを巻いている姿なんて何でもないことらしい・・・。
さっき玄関で、今でも“美人”と思ってくれていると知って嬉しかったのに・・・。
それとこれは違うらしい・・・。
それはそうで・・・。
昨日、何も相手にしてくれなかった・・・。
私は昨日、何も相手にされなかった・・・。
洗面所の大きな鏡に映る自分の姿を見る・・・。
長い髪の毛から水が垂れていくその身体は・・・
その身体は・・・
ちゃんと綺麗に見える・・・。
ちゃんと、大人の女の身体に見える・・・。
女の子達から教えて貰った「エッチしたい」という言葉も・・・
小学生の妙子ちゃんから言われた“セクシーな格好で色仕掛け”も・・・
武蔵には何も通用しなかった・・・。
何も、何も、通用しなかった・・・。
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