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日曜日・・・ 「お兄ちゃん、本当に日曜日も仕事なんだ?」 朝5時半、武蔵が会社に行くのを、拳君も起きてきて玄関で見送っている。 「うん。薬を創ってるんだ。」 「ふ~ん・・・。」 拳君がそんな返事をしながら武蔵のことをジッと見ている。 「頑張ってとしか言えないけど、頑張ってね。」 「うん、頑張るよ。 拳は出掛けた後にそのまま帰るんだよね?」 「その予定。俺もそろそろ出るよ。」 「こんなに早く?」 「遅いくらいだよね。急いで行く。」 「小学生の頃から朝は早かったからね。 気を付けてね。」 「・・・お兄ちゃんからそんな気遣いの言葉を聞けるとは思わなかったよね。 帰ったらお父さんに言っておく。」 そう言って笑っている拳君に武蔵が笑い返し、久しぶりの兄弟の時間はこれで終わったようだった。
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