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10
それから月日は流れ・・・
30歳、10月・・・。
お風呂を終え、今日も綺麗目な部屋着に着替えた。
そこから薄くお化粧をして、洗面所の大きな鏡に映る自分を見る。
衰えたなと、そう思った・・・。
張りのあった頬は昔より重力に負けているし、昔はもっと肌にも元気があった。
そして・・・それは身体も・・・。
昔はもっと、綺麗だった・・・。
きっと、もっと綺麗だった・・・。
見てもらうことは出来なかった・・・。
23歳になったばかりの頃、恥ずかしい言葉も言った。
それに相手にしてもらえず、その後にその言葉を言うことはなかった。
でも、頑張ってきた。
私は私なりに頑張ってきた。
震える左手でスマホの画面を見る。
そこには、経理部の後輩である真坂さんからの返信メッセージが。
今日の定時後、真坂さんは武蔵を誘って飲みに行っていた。
営業部の小池さんの調査の為、真坂さんが武蔵から聞き込みをしてくれていた。
武蔵は小池さんからグイグイされているらしい。
姫の彼氏、透にも猛アプローチをしていた小池さんが、今度は武蔵にもグイグイらしい・・・。
そんな噂が営業部の女の子達の間でされているのを、真坂さんが調査してくれた。
武蔵が私の婚約者だとは知らない真坂さんが、調査してくれた・・・。
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