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───────── ────── ....*・...・*..・*・. 大きな大きなお屋敷。 その中で私は鼻歌を歌いながら小走りで進んでいく。 大股ではなく、小股で。 自分の姿を見下ろして自然と笑顔になってくる。 今日は19歳の誕生日。 お父さんとお母さんと料亭で食事をしたので、誕生日にと買ってくれた薄ピンク色の着物を着ている。 可愛い可愛い着物。 その着物を着て、お屋敷の中を小走りで進んでいく。 長い長い廊下・・・。 そこに、私の大好きな人の後ろ姿が。 見付けた瞬間、抑えられないニヤけた顔と大きく高鳴る心臓の音。 この可愛い着物をあの人は何て言ってくれるか。 どんな顔をしてくれるか。 私は“美人”だから。 “小町”という名の通り、私は“絶世の美女”と言われている。 小野小町のように歌は詠めないけれど、私は“絶世の美女”とは言われている。 そんな私がこんなに可愛い着物姿になって、あの人は何て言ってくれるか。 どんな顔をしてくれるか。 考えただけでドキドキとしたしワクワクとした。 胸を両手で抑えながら大好きな人の名前を呼んだ。 大好きな大好きな人の名前を。 「武蔵!!!」 大好きな武蔵が立ち止まり、ゆっくりと・・・ ゆっくりと、振り返る・・・。 私に、振り返る・・・。 振り返る・・・ 瞬間・・・ 力ずくで両目をこじ開けた。 こじ開けてみせた。 こじ開けた目からは、今日も大量の涙が流れていた・・・。
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