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卒業式に告白しようという作戦を練った。
蓮実くんは、ほぼわたしのアドバイスを帰り道に聞くだけで、わかってるのかわかってないのかさっぱりだったけど……。
学校でよーく見てると、意外と蓮実くんにも部がありそうなそんな感じになっていった。
そして卒業式当日。
体育館に全校生徒が集まる。まだしんみり寒くて、春はもうちょっと。でもいい天気の日だった。
名前が呼ばれて舞台上にあがる。
答辞を読みながら、蓮実くんの成功のイメージを浮かべていた。
お辞儀をする。席に戻る前に蓮実くんのいる席に視線を向けると、目が合って思わずそらしてしまった。
卒業式が終わり、教室でお別れの言葉とか言い合って後輩などとも話す時間が設けられる。
友人に寄せ書きを頼まれた。それを書き込みつつこれから蓮実くんが告白して大成功を納めるイメージを頭に思い浮かべた。
『わか、私のも書いてよ』
美紗ちゃんに声をかけられて、いいよ、と快くアルバムにある空白を埋める。
『わかって、蓮実のこと好きだよね……?』
唐突にそう言われた。視線を上げると、きょとん顔でみられる。あぁ、可愛い顔…羨ましい……。
『え?!?!あ、ねぇみて!』
はぐらかすように外にいる海ちゃんと蓮実くんを指さした。ボタン全部毟り取られてて、二人共やれやれっと肩を落としてる様子がちょっと笑える。
蓮実くんに告白してる子もいて、勇気を讃えてあげたい。
そんなことより、第2ボタン、死守できたかな?
「あはは、あんなに取られてるー」
「凄いね。二人とも。そしてここ最近大変だったよね」
ここ数日、美紗ちゃんは最後だからと沢山の人に告白されていた。
「……まぁね」
何とも言えない曖昧な表情、モテることがいいことではないんだよね。
近くで見てきたから知ってるよ。ふるのだって大変だし、やっかみだって凄いよね……。
『書き終わったよ』
結構長くなっちゃったけど、美紗ちゃんは喜んでくれた。
『ありがと。下行って皆と写真撮ろうよ』
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