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美紗ちゃんに手を引かれて校庭に降りる。美紗ちゃんを待っていた子も多くてすぐ囲まれていた。
『若葉、写真とろー!』
友達にそう言われて一緒に写真を撮り、先生に御礼を伝え挨拶をする。
後輩や女子生徒から逃げ切った蓮実くんがわたしのもとにやってきた
『わか、ちょっと』
『ん?なに?』
蓮実くんを見上げると、なんか緊張したような真面目な顔をしていた。いつも以上に表情が固い。
『話したいことあるから、待ってて』
『えっ?えっと…話すことはないよ。もう大丈夫』
『いいから、待ってて』
頭にぽんと手を置かれ、念を押される。
『そんなことより、いま美紗ちゃん呼んできてあげるから、心の準備!じゃあ、頑張ってね。バイバイ』
私は囲まれてる美紗ちゃんを呼び、蓮実くんと一緒に裏庭に行くように伝えた。
わたしは二人の時間を取るために、二人で写真を撮ろう、お海ちゃんを呼んだ。
たぶんこれからも一緒にいるということを3人疑っていなくて、また明日からの話をされて心が苦しくなる。
本当は今日これからこの田舎を出ていく。
でも、3人には話せなかった。
わたしがいなくたって平気って見せつけられたら、心を保てるとは思えなかったから…。
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