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家に戻り着替えると、まとめていた荷物を持ってすぐに電車に乗った。清蓮学園の寮に向かう。
電車の中で、いろいろな感情がこみあげて、涙が止まらなかった。
うまくいったかな?
美紗ちゃんの気持ちはよくわからないままだったけど、どっちを選んだのかな?
全部隠していなくなってごめんね。
高校に入学すると、5月には蓮実くんから手紙が届いた。
最初の1枚は動揺と驚きで、ただ蓮実くんの文字を見つめるしかなかった。
そこら1ヶ月に1枚は必ず手紙を送られてくる。毎回同じ便箋は謎の圧を感じてでもパンドラの箱みたいで怖くて開けずそのまま全部机に閉まっている。
幸いにも首席はずっと維持できていて、高校生活はとても楽しいものだった。
認めてくれるクラスメイトや友達。
今はすごく恵まれた環境にいる。
蓮実くんへの気持ちも、1年経てば自然と薄れると思っていた。
それなのに……手紙が届くたびに隣で過ごした穏やかな日々を思い出させられて蓮実くんのことで頭がいっぱいになる。
元気かな、もう手紙はいらないよ。
大丈夫。
私はもう忘れたいんだから……。
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