28人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふたりともどうぞ」
私は中学生で獲得した得意の能面フェイスをしてそういった。二人も取りに行って、戻ってくる。
「あ、あの、なんて呼んだらいいですか?」
「えっと、名字はサンチェスで名前が透なんだ、呼びやすいようにえっと……」
「あ、神崎で結構です。サンチェスさん」
私は冷たくそういった。サンチェスさんはちょっと怪訝な顔してた。
言い方きつかったみたいだけど、いま精一杯心を沈めてるからこんな回答しかできない。
「で、どこの方なんですか?」
「俺は、スペイン人とハーフなんだよ。父親がスペイン、母親が日本、生まれはこっち」
「へー?スペイン……サッカー?」
「俺はバスケ部」
「ああ、そうだった。玲奈がそういってました。」
「瑠奈、同い年だし敬語なくていいと思うよ」
「そんな最初から無理だよ」
私がそういうと、また空気が悪くなる。
玲奈はちょっとしゅんとしてた。こういうのがいけないってわかってる。
初対面の特に男の子に対しては緊張しちゃってどうしても態度がかなり固くなる。メニューが運ばれてきて、食事を始めると、玲奈がスプーンを落としてしまった。
「「すみませーん」」
最初のコメントを投稿しよう!