見取り図

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見取り図

私はこんなこともあろうかと、夫の書斎の合鍵を作っていた。  夫が昼間会社に行ってる間に私は夫の書斎の机の上に置いてある高級住宅の見取り図を盗んだ。 これ以上夫を犯罪者にしたくはなかった。  そして、私も犯罪から手を洗うつもりでいた。 夜夫が帰宅した。夫は帰ると直ぐに書斎に向かった。 「おい!ここに置いておいた住宅の見取り図はどこだ!お前!どこにやったんだ!」  思った通り夫は私に怒り狂った。 私は「もう、泥棒なんてやめて!あなた泥棒が趣味なの?犯罪よ。だからもうやめて!」 夫は私に一言話した。 「泥棒が趣味?お前は結婚した時から何も気づいていないんだな。俺の仕事は泥棒だよ。これが俺の本職だよ」 私は夫に聞いた。 「あなたはエリート商社マンのはずじゃあ?」  夫は言った。「そう言っておかないとこの地域に馴染まないだろう。お前も泥棒だろう?俺と同じだろう」 その時、今まで信じていた何かが崩れた。  ただ、夫も私も幸せな夫婦の仮面を被っていただけだと気づいたのだった。。。 完
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