episode12

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episode12

9月1日付で中途入社が1人俺の部署に入ってくると聞いた。 部長が朝礼で紹介を始めた。 「今日付で入社した、香坂茉莉さんです。」 「香坂茉莉です。よろしくお願いします。」 「香坂さんはしばらく遠矢のフォローに入って」 は?なんで俺なんだよ・・・・。 「遠矢先輩?」 俺を先輩と呼ぶ。よく見てみると大学の後輩だった。 「なんだ2人は知り合いなんだな。じゃあ問題はないな。 遠矢よろしく頼むな。デスクは遠矢の隣を使ったらいい。」 香坂茉莉は俺の所に歩み寄ってきた。 「遠矢先輩。お久しぶりです。またよろしくお願いします。」 「ああ」 香水臭くて嫌になる。香坂茉莉とは大学時代に付き合ってはいないが、告白ををされたことはある。俺の高校・大学時代は本当に女にだらしなかった。就職して最初の頃にちょっとだけ付き合った女はいたが、愛簿唯子に出会って好きなったことによりすべての女を切り捨てた。このことは愛唯子には言っていない。 そんな俺の黒歴史を知る女が出現してしまった。面倒な事になるまえにきちんと愛唯子に話をしておかなければいけないと思った。 仕事の前に各階のフロアを案内してあげろと上司に言われたので仕方なく 2人で移動する。 「先輩は相変わらず素敵ですね。女の人達が先輩の事みてますね。」 香坂の話はスルーして、各フロアの関係のある部署の部長へ紹介する。 愛唯子の部署とは関係はないのでいかなかったが、移動している時に愛唯子を 見かけた。 俺は香坂に少しまっているように伝えて愛唯子の元に向かった。 「愛唯子。今日は早く帰れそう?」 「今日は少し残業かもしれないかな。廉は?」 「俺は19時には終わると思う。」 「私もそれくらいかな・・・」 「じゃあ今日は外に飯食いにいこう。終わった連絡して。俺もする。」 愛唯子は遠くにいる香坂に視線を向ける。 「今日付けで中途で入った人。俺のフォローに入ることになって社内を 案内中なんだよ」 「そうなんだね。じゃあ後でね」 愛唯子に手を振って香坂の元に戻る。 「待たせて悪いな。」 「お知り合いですか?」 「ああ。俺の大事な人」 「大事な人・・・」 それから香坂はあまり話をしなくなったがそれは俺的には好都合だった。 自分の仕事をしながら香坂に出来そうな仕事を説明しながら振っていく。 前の会社でも同じようなことをしていたらしくテキパキ動いてくれるから 助かった。 「定時になったから香坂さんは帰って大丈夫だから」 「でも・・遠矢先輩はまだお仕事されるんですよね?」 「まあ。あと少しだけな。」 「じゃあ私も手伝います。」 「初日から残業とか俺が怒られるから今日は帰っていいよ。」 「分かりました。お疲れ様でした」 やっと自分の仕事ができる。早く終わらせて愛唯子と飯に行きたい。 その気持ちだけで仕事をハイスピードでこなしていく。 愛唯子から【エントランスで待ってる】とメッセージが届いた 時にちょうど俺の仕事も終わったから、【今から行くから】と返事をした。 「愛唯子。待たせてごめん。」 「ううん。お疲れ様。廉。」 「愛唯子もお疲れ。何を食べたい?」 「そうだな・・・パスタかな・・・どう?」 「いいね。じゃあいつものとこ行く?」 「うん。」 2人で並んでよく行くパスタの店に歩いた。 2人でパスタを食べた。お酒を少し飲んだから散歩がてらマンション まで歩いて帰ることにする。 香坂の事を帰ったらちゃんと愛唯子に話をしないとだな。 「「ただいまー」」 「愛唯子、先に風呂入る?俺は一緒でもいいけど・・・」 愛唯子に視線を送ると、目をそらされた。 「先に愛唯子入ってきていいよ。俺は後から入るから」 「廉が先に入っていいよ。」 「そう?じゃあ先に入ってくる」 愛唯子は恥ずかしがってなかなか一緒にお風呂にはいってくれないんだよな。 そんな愛唯子もかわいいんだけどね。 「愛唯子、風呂どうぞ」 上半身には何も着ずスウェットパンツをはいて首にタオルをかけてリビング に戻る。 冷蔵庫からビールを出してゴクゴクと飲んだ。 愛唯子が風呂に入っている間に少し眠くなってきて、Tシャツを着てベット に転がっていた。 「廉?寝てるの?」 「寝てない・・・眠いけど・・・愛唯子に話したい事あってさ・・・」 「なに?」 愛唯子がベットの端に座る。 「今日さ・・・中途入社の女の人いただろ?あの人・・大学の後輩なんだよ。 俺・・高校と大学の時って女にだらしなかった話をしたと思うんだけど、 そういうのを噂とかで聞いてると思うから、もしかしたら嫌がらせとかで 愛唯子に何か言ってくるかもしれないなって」 「元カノとかではない?」 「それは絶対にないんだけど・・・告られたことはある。」 「そっか・・・。」 「でも、俺は愛唯子に出会ってからはずっと愛唯子だけなのは信じて欲しい」 俺は最低な男だと改めて思った。愛唯子に悲しい思いをさせてしまっているの ではないかと思う。結婚止めようとか言われたらどうしよう・・・。 いろんな負の感情が頭のなかでめぐる。 愛唯子の顔が見られない。 「廉」 俺の名前を呼んで愛唯子が俺を抱きしめてきた。 「愛唯子・・・」 「私は学生の時の廉は知らない。私が知っている廉は今目の前にいる廉だから 昔の事をもし何か言われても大丈夫だよ。」 「俺との結婚やめたくなった?」 「なんで?廉は私と結婚したくなくなったの?」 「俺は愛唯子と結婚する!」 「じゃあ。しよう!はい。この件はおしまいね」 俺は愛唯子をめっちゃ強く抱きしめた。本当に愛唯子を好きなってよかった と改めて思った。
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